法務の樹海

法務、キャリア、司法修習などについて書きます。

贈収賄に関する司法取引についての一考察

ついに司法取引一発目が行われました。日経新聞は下記の通り、他紙と比べれば比較的詳細に報道しておりますので、これらの内容を参考にしつつ、司法取引のあり方について若干のコメントを加えます。結論から申し上げますと、処罰対象の妥当性の観点からも、企業統治の健全な発展という観点からも、本件のような運用は慎重であるべきだと考えています。

 

1、事実経過について

事実経過については、日経新聞が他紙と比較すれば詳細に報じています。要約すると下記のような経過になります。

贈賄、元取締役が承認か 司法取引のタイ事業疑惑 三菱日立パワー :日本経済新聞

  • 2015年2月頃、三菱日立パワーシステムズ(以下「MHPS」)が、受注していたタイの発電所建設に必要な資材をタイに持ち込もうとしたところ、タイの港の桟橋の利用手続きに不備があり資材を運び込めない事態が発生した。
  • 納期が迫る中、現地従業員は港湾当局と折衝したが、港湾当局から金銭の支払いを要求され、当時MHPS常務執行役員エンジニアリング本部長だった元取締役の承認の元、数千万円を港湾当局に対して支払った。
  • その後、内部告発によりMHPS社内で問題が発覚し、MHPS東京地検特捜部に自主的に報告を行った。

「元取締役が」承認した、と報じられており、取締役の承認があったかのような表現になっていますが、承認者の当時の肩書きは常務執行役員エンジニアリング本部長であると考えられるため、これは誤解を与える表現なのではないかと思います。

 

 

2、海外贈収賄防止の内容

次に、海外贈収賄防止について、基本的な事項をおさらいしたいと思います。不正競争防止法は、下記のように定めて海外の公務員との間における贈収賄を禁止しています。

何人も、外国公務員等に対し、国際的な商取引に関して営業上の不正の利益を得るために、その外国公務員等に、その職務に関する行為をさせ若しくはさせないこと、又はその地位を利用して他の外国公務員等にその職務に関する行為をさせ若しくはさせないようにあっせんをさせることを目的として、金銭その他の利益を供与し、又はその申込み若しくは約束をしてはならない。 

さらに、この規定に違反した場合、行為者本人だけでなく、その者が所属する法人も合わせて処罰されるいわゆる両罰規定が不正競争防止法22条に定められています。

 

なお、両罰規定が存在する場合の法人の処罰について、最高裁は、法人の行為者たる従業者等の選任・ 監督その他違反行為を防止するために必要な注意を尽くさなかった過失の存在を推定し、その注意を尽くしたことの証明がないかぎり事業主も刑事責任を免れないことを判示しています(最判昭和40年3月26日)。

 

本件に引き直せば、港湾当局という外国の官公庁に対して、桟橋の利用させるという利益を得るために、数千万円を支払った従業員(行為者)と、その従業員が所属する法人(MHPS)は、実際に従業員がそのようなことが行っていたとすれば、いずれも処罰の対象となり、法人に関しては上記のような無過失を証明しない限り免責されることはないということを意味します。

 

3、司法取引の概要

詳しくは刑事訴訟法350条の2以下を熟読していただきたいと思いますが、要約すれば、ある事件の被疑者・被告人が、当該事件の共犯者又は他人の事件について、真相解明に資する供述・証拠の提出をすることを約し、検察官がその見返りとして不起訴・特定訴因での起訴・特定の求刑を行うことを約するという訴訟法条の取引を行うという内容です。

 

4、今回の司法取引の問題点

さて、以上を前提として、今回行われた司法取引の問題点を概観したいと思います。本件においては、詳細は不明ですが、法人側が検察側に捜査協力を行うことを約し、検察側が法人を不起訴とすることを約したという司法取引が行われているようです。

司法取引一般に関する問題点は、学者や刑訴法の専門家の方に任せるとして、一実務家として考えた問題点は下記の2点です。

  • 今回のケースで一時的な責任を負うべきなのは企業である可能性が高く、司法取引は不当なのではないか
  • 今回の司法取引は今後の企業の内部統制構築を困難にするのではないか

以下それぞれ詳述します。

 

①今回のケースは会社が責任を負わなくて良いようなケースなのか

海外において贈収賄が行われないようにする体制を構築する義務は、会社法上の内部統制構築義務の一つとして、会社側に課されている義務です。従って、いざ贈収賄が行われた場合にまず問われるのは、会社側が贈収賄を防止するために必要な体制を構築していたかという点であり、それが否定されれば会社側は贈収賄の発生については責任を免れ得ないというのがスタンダードな考え方といって良いのではないかと思います。すなわち、贈収賄において一次的にその責任を追及されるべきなのは会社であってその従業員ではありません。

 

上記のような内部統制構築義務が民事法上、会社に課される背景には「贈収賄により利益を得るのは会社であり、そのような動機がある以上これを統制するのは会社の義務である」という価値判断があり、刑事裁判における量刑判断の場面においても、犯罪による利益を享受する度合いが量刑判断の重要な要素とされていることからすれば、会社が利益を得る類型の贈収賄については会社が第一次的な責任を負うべきであるという考え方は、刑事責任追及の場面においても妥当すると私は考えています。

 

(もっとも、両罰規定の伝統的な理解からは、まず個人、しかるのち法人というのがスタンダードです。)

 

翻って本件についてみると、現時点で出ている情報のみからいえば、①贈賄の結果得られた利益が桟橋の利用という専ら会社にとっての利益であること、②執行役員の承認があったとしても数千万円という金額を賄賂として支払うことができる内部管理体制に問題がなかったとは考えにくいこと、という2点から、賄賂を実際に支払ったのは従業員であったとしても、その動機と機会を与えたのは会社であり、それはすなわち会社の内部管理体制に問題があったことに他ならず、今回のケースは会社が一次的責任を負うべきケースなのではないかと私は考えています。

 

検察が会社側の内部管理体制についてどのような調査を行い、どう判断したのかは不明ですが、今回のケースで、いかに有益な証拠を得るためとはいえ、不起訴まで約束したことの妥当性について、私は現段階では疑問を感じずにはいられません。

 

②内部統制構築への影響

今回のような司法取引が行われる可能性があることを前提とすると、従業員が社内通報窓口等を通じて自主的に贈収賄が行われたことを報告することを期待できなくなり、贈収賄のリスク統制がかえって困難になる恐れがあります。

つまり、会社の言う通りに報告を行ったら会社が捜査機関に報告内容を提供し「従業員は処罰してもいいが法人は勘弁してくれ」という行動を起こす可能性が高い以上、従業員としては報告を行わず逆に捜査機関に対して情報を提供して自らの処罰を軽くする動機が発生すると考えられます。そうすると、企業としては贈収賄の状況を把握することが困難となり、そのリスクをコントロールするための対策を講じ、内部統制を整備するハードルが上がるのではないかと思います。

 

そもそも贈収賄は東南アジアにおいては日常的に発生する問題であり、現場の担当者が「違法なのはわかっているが支払わなければ埒があかない」という意識を持っているケースは極めて多いと思われます。そのような中で「会社はいざとなったら従業員を捜査機関に売り渡して責任逃れをします」というメッセージにも見える司法取引が行われて、果たして現場の従業員は贈収賄防止体制の構築に協力してくれるのでしょうか。今回の取引は内部統制構築という文脈から見たときに、非常に大きな負の影響を与えるのではないかと危惧しています。

 

 

5、終わりに

以上の通り、今回のケースで会社を処罰のスコープから外したことそれ自体の妥当性への疑義と、それが会社の内部統制構築にもたらすインパクトについて雑ながらまとめてみました。

 

また、蛇足にはなりますが、MHPSは「情報を渡すから法人の処罰を勘弁してくれ」ではなく「情報を渡すから従業員の処罰は軽くしてやってくれ」ぐらいの度量を見せて欲しかったと思います。今回の司法取引で、会社のために違法行為とは言えリスクを負って行動した従業員をあっさり切り捨てて責任を逃れようとするような会社であるとのメッセージを世に放ってしまった形になりますが、そのようなイメージを払拭するに足りるだけの説明が果たして可能なのか、今後の展開が非常に気になります。

 

まだまだ書くことはいくらでもありますが、疲れてきたので一旦ここで筆をおくことにします。今後も新たな情報が出次第、適宜コメントしていきたいと思います。

 

 

 

 

 

契約書のレビューというわりと退屈な仕事

契約書のレビュー、法務部員なら誰しもが最初から最後までやり続けることになるお仕事で、参考書籍もたくさん出ています。本日は、ふと「そういえば契約書のレビューってそんなに面白くないし、面白いのがあっても一部だよね」と思ったので、前提として、契約書のレビューをなぜやるのかということは明確にした上で、面白い/面白くない契約書とは、という話からいろいろと書いてみたいと思います。

※なお、法律関連のことならなんでもやりますという法律何でも屋的法務部門を想定しています。また、便宜上、契約書のレビューにはゼロドラフトも含むものとして以下書いていきます。

 

1、そもそも契約書のレビューって何でやるの

契約当事者間の権利義務関係を明確にすること、取引に内在しているリスクを適切にコントロールすることが目的だと思います。少し詳しく述べます。

 

(1)権利義務関係の明確化

契約書を見ていると、そもそもそれを読んだだけではどういった取引が行われるのかよくわからないものが相当数あります(これは法務機能が整っていない中小企業にありがちな現象かもしれません)。また、契約書上の取引内容は明確でも、それと取引の実態が結構違っていることもあります。そういった契約書を放置しておくと、紛争が起きたときに契約書の条項が紛争解決の基準として機能しなくなるので、レビューにおいてはまず、その契約書が対象としている取引から生じる権利義務関係を明確にしておく必要があります。

 

(2)リスクコントロール

次に、リスクコントロールについて。上記のように権利義務関係を明確にすることとリスクのコントロールをすることは等価ではありません。不必要に不利な形で明確化されるということは十分に有り得ます。そこで、権利義務関係が明確にされていることを前提として、リスクが適切に分配されているかを検討し、必要であれば修正を加えるという作業が必要になってきます。

 

ここで、契約書修正の目的は「リスクを最小化すること」「リスクを低減すること」であると言われることがありますが、これはおかしいです。リスクは最小化すればいいってものでも、低減しとけばいいってものでもありません。あくまでも、取引から得られる利益とのバランスで許容可能な範囲にリスクが収まっていること、それを前提として可能な限りこちらに有利な形でリスクの配分がなされることが目的です。

 

リスク分配の話については、法と経済学の契約分析みたいなものを読んでみると理解が深まるでしょう。なお、下記参考書籍の372頁以下、リスクのコントロールそのものではないですが契約締結という行為の経済学的分析が記載されているので、暇な人は一読してみてください。

 

法と経済学

法と経済学

 

 

2、面白い契約書レビューとは

では、以上を前提に「面白い契約書」とは、という話をします。個人的見解の結論としては、大規模で複雑な取引の契約、新規事業に関する契約は楽しいかな、という感じです。

 

(1)大規模複雑取引

大きくて複雑な取引は頭も体も使うのでとても楽しいです。

 

まず契約内容を整理するだけで非常に頭を使います。当事者に聞き取りを行い、必要であれば企画会議に参加するなどして取引の全貌を把握しながら、文言で落とし込むにはどうすれば良いのかギリギリ考えていきます。いろいろな人とのコミュニケーションが発生するし、高度な情報の整理統合能力が要求されるので非常に知的に面白い作業です。

 

また、取引規模がある程度大きいと、相手も取引条件について本気で交渉してきますし、往々にして法務はその交渉に巻き込まれます。相手との交渉のテーブルに法務もきてほしいという話になればこれはもうドキドキです。自社の担当者と入念に準備し、合意可能なラインについて相談した上で交渉に望みます。

 

苦労して整理して条件をギリギリ交渉した契約書が出来上がり、合意が成立した時の「やったった」感は半端ではありません。なお、取引でトラブルが生じて、それに対して適切な条項が付されていなかった場合は、法務は容赦なく叩かれます。これもある意味醍醐味の一つです。

 

そんなこんなで、大規模で複雑な取引の契約書レビューは楽しいです。

 

(2)新規事業に関する契約

大規模で複雑な取引と同じような理由で、新規事業に関する契約処理は結構面白いです。今まで自社ではやってこなかった事業に関する契約書を作成する際には、事業・取引内容の整理とリスク事象の洗い出し、分析が必要になってきます。社内の企画会議などに参加しながら、取引の構造を把握して文言に落とし込み、リスクを分析して文言を調整し、適切なリスク分配をしていくのは、(1)と同じく知的な興奮のある仕事です。

 

ただし、利用規約を作成する場合など、必ずしもカウンターパートがいる場合ばかりではないので、作成段階では交渉が発生しないことも多く、この点では(1)からは1歩ビハインドかなという印象です。

 

(3)面白くない契約書

では面白くないレビューにはどのようなものがあるでしょうか。せっかくなのでランキングを作ってみました。

  1. NDA
  2. 外注業者との業務委託契約
  3. 雛形を使用した取引基本契約

栄えある第一位に輝いたのは契約書の帝王NDA。全世界中でもっとも多く結ばれている契約なんじゃなかろうかと思うぐらい日々締結されている契約で、プラクティスが積み上がりすぎてほぼすべての条項に最適解があるというやばい契約類型です。新人法務担当者は、入社したらとりあえずNDAをレビューさせられるのが世の習いのようですが、一瞬でできるようになります。あまりにも定型すぎてつい最近、弁護士の修正精度を上回るAIが登場しましたね(※)。

mashable.com

 

第二位は外注業者との業務委託契約です。これもほぼ定型で驚くほど面白くありません。その割に小さい外注業者だと、意外と契約文言にこだわってきたりするので面倒くさいです。合意したところで充実感とかありません。これもAIにやって欲しい。

 

第三位は雛形を使った取引基本契約です。自社の雛形を作る過程は(2)で書いた通り結構面白いんですが、いかんせん雛形を作る段階で取引条件の整理とリスクの最適分配の解が出ているので、実際に締結する際に面白いことは特にありません。他社の雛形のレビューについては、他社は他社で上記のような状態なので、正直、ネゴっても落とし所が明確なことが多く、交渉も盛り上がりません。予定調和でつまらない、それが雛形契約です。

 

そして悲しいことに、上記の3カテゴリーがだいたい契約書レビューの8割超を占めます。

 

NDAは実は工夫の余地がある契約ではあるので、ギリギリ考えていくといろいろなアイデアが浮かんではくるのですが、イレギュラーな変形を加えると相手方も嫌がるので「とりあえずいつも通りノリで結ぶか」というのが現状だと思います。秘密保持契約の実務という本が出ているので新人担当者は読んでおいて論点全部把握して高速処理しましょう。なお、秘密保持契約のレビューについては別記事である程度詳しくかいておりますので、そちらもご覧ください。

 

秘密保持契約の実務―作成・交渉から平成27年改正不競法まで

秘密保持契約の実務―作成・交渉から平成27年改正不競法まで

 

NDA(秘密保持契約)の読み方・レビュー方法 - 法務の樹海

  

 

3、契約書レビューとキャリア

さて結局「契約書って大部分面白くないよね」という話なのですが、この「面白くなさ」からキャリアの話を少ししたいと思います。面白くないラインキングに記載したような契約書類型は、要するに落とし所がある程度わかっていて、必要な知識を身につければわりと誰でもできる仕事であるということなので、キャリア開発の観点からいうと「長く続けるべきではない仕事」という話になってきます(その割に毎日多数湧いて出てきて辟易するのですが・・・)。

 

ということで、さっさとスキルコンプリートして次のステップに進むのが「面白くない契約書のレビュー」という仕事のはずなんですが、意外ときちんとできない人が多いというのが率直な印象です。採用面接にきた2−3年の法務経験者に「契約書レビューできますか」「できます」「じゃあこの契約書ちょっと見て確認・修正すべき点を教えてください」というやり取りをすると、結構な人があさっての方向に走り出します。なので、面白くないからといってバカにはできない部分ではあります。そして、面白くない契約書のレビューを早く正確にできない人は、当然、難度の高い契約を処理することもできません。

 

そんなこんなで大部分面白くなくて時々楽しい、でもちゃんとやらないといけない契約書レビューというお仕事なのですが、スキルとしてきちんと育てていくと下記のようなクラスチェンジが可能なのではないかと思います。

  1. M&A担当
  2. コントラクトマネージャー

M&Aは要するに大きくて複雑な契約なので、こればっかりやる人になっていくというのは一つの進化のあり方ではないでしょうか。次に、コントラクトマネージャーというのは外資に特有の職種なのですが、契約の締結から執行に至るまで面倒を見てあげる人という感じになります。どちらもそれなりに高度な仕事なので契約書レビュアーの上位職種としてはありなのかなと思います。RPGでいえば剣士から聖騎士・魔法剣士になる感じです笑。

 

何れにしても、単に契約書の文言を確認して修正できるということにとどまらず、取引の全体把握、整理、交渉まできちんとこなせるようになるという意識を持つことが、面白くないものも含めて契約書をレビューするという仕事においては、キャリア開発の上でも大事なスタンスになってくるのかなと思います。

 

4、まとめ

ということで、契約書のレビューについて由無し事を書いてきましたが、なんだかんだ言っても、やっぱり面白くないことに時間は割きたくないなというのがまとめになります。ただ、さはさりとて、きちんとできないといけないことではあるのでこれから法務キャリアをスタートさせる人は頑張りましょう!という話でした。

 

また、今回は目的からそれるので書きませんでしたが、契約書をレビューする際の観点はリスク分配だけでなく結構多彩なので(会計処理との整合性・取締役会への付議の要否・インサイダー情報の該当性等々)、この点についてはまた暇なときに書きたいと思います。

 

なお、一応、契約書修正の参考書は下記に挙げておきますが、どれか一冊買ってしっかり読むということで十分だと思います。ではまた。

 

契約書作成の実務と書式 -- 企業実務家視点の雛形とその解説

契約書作成の実務と書式 -- 企業実務家視点の雛形とその解説

 
実践! ! 契約書審査の実務

実践! ! 契約書審査の実務

 

 

法科大学院院生の企業就職について:2017年ver

去年は、下記のような記事を書きましたが、2017年バージョンを書きたいと思います。特に就職活動の方法に変化が生じているとは言い難いので、今回はジョブマーケットの所感と改めてこれ大事だよねと思うことだけメモ程度に書いておきます。

 

murataumiharu.hatenablog.com

murataumiharu.hatenablog.com

 

1. ジョブマーケットの状況

底堅い需要がある印象。コンプライアアンスが叫ばれる昨今の社会情勢の中「法務を強化しよう」と企業が考えるのは当然ですよね。とはいえコストセンターの代表格なので、業績が悪化すれば真っ先に採用を絞られる職種の一つではあります。まあマーケットが冷え切っていて就職先を探すのが困難と言う状況ではないという印象です。普通に探せばなんとかなる世界です。

 

2. 仕事の探し方

MSジャパンやリクナビなどの中途採用エージェントを活用すればオッケーです。なんとかなります。あとは下記。エージェントの人とはしっかり話して、履歴書の書き方や職務経歴書の書き方を教えてもらいましょう。

IT/Web業界の求人・採用情報に強い転職サイトGreen(グリーン)

 

3.  法務にこだわれ!派遣はやめとけ!

就職活動する中で、法務以外の職種を進められることがありますが、基本は「法務がいい。余計な口出しをするな」でいいと思います。まずはバックグラウンドをある程度活かせるフィールドでエントリーし、その後職域を拡大するなりしてくのが定石ではないかなと思います。

 

そして派遣はやめておきましょう。正社員にこだわって就職活動をしましょう。派遣と正社員ではいろいろ違います。色々。

 

なお、以上は、ハイポテンシャル人材であると言う自信がある人、凡人とは一線画す野心がある人は無視してオッケーです。能力と志を武器に残虐デスマッチを繰り広げるのが実社会のあるべき姿です。凡人向けのアドバイスを真に受ける必要はありません。自分の思う通りにやるのが吉です。

 

4.    まとめ

今年もちゃんとやればなんとかなります。引き続き、外野は無視でいきましょう。

 

P.S. 面接が苦手な人は、想定問答を作成するとともに、下記のような本で面接する側が何を考えているのか、考えてみても良いかもしれません。

「使える人材」を見抜く 採用面接

 

 

 

 

CBPRってなんやねん

すっかり暖かくなって、という表現は少し変かもしれませんが、あっという間に2016年も半分が経過しつつあります。

 

正月にたてた目標は「頑張って働く」でしたが、今のところこれは達成できているので、下半期に新たな目標として「丁寧に仕事をする」というのをぶち上げたい(ぶち上げるほどのことでもないですが・・・)と思います。

 

1、CBPRについて

さて、表題ですが、CBPRってなんでしょう、という話です。端的に言うとAPECが決めた個人情報保護の認証制度です。

www.meti.go.jp

経産省の資料を見ると、「APEC 域内における企業等の越境個人情報保護に関する取組に対して、APEC プライバシー原則への適合性を認証するものです。」とあります。パッと見で「なに?何か規制的なアレ?」とかいろいろ疑問がわいてきますが、これって企業として対応マストなんでしょうかね、というのが一番気になるところです。

 

2、企業は対応しないといけないの?

結論、別に必要なし、というのが現状です。

このCBPRというのは、「ええ感じに個人情報管理しとるな~よしよし」とAPECが言ってくれるだけで、「よし、認証とったから○○を許可する!」というような効果はありません。何のための制度やねんという感じはしますよね。

 

3、日本の個人情報保護法との関係はどうなの?

これは何とも言えませんが、日本の個人情報保護法改正の議論の中で検討されている個人情報の越境移転に関する規制と、若干関係あるかなという気はします。ただ「CBPRとったから個人情報保護法の要請は満たしています」ということが言えるわけではないのは確実かと思います。

これは日本の個人情報保護法の改正動向を追いかけておく必要があるので、検討課題です。

 

4、それでも認証取りたいんだけどどうしたらいいの?

どうしてもとりたい人は、下記を参照してとりましょう。いまのところあんまり意味ないんじゃないかな~。内容をざっと見たところ、Pマークの審査基準のぬるい版のような感じなので、企業規模にもよりますが基準充足自体にはそれほどの労力は払わなくてよいのではないかというのが所感です。

CBPR認証審査要領 - 一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)

なお、大元のAPEC privacy frameworkは下記です。こちらはしっかりと読んでませんが、個人情報保護のルールとしては通り一遍の内容と思います。

http://www.apec.org/Groups/Committee-on-Trade-and-Investment/~/media/Files/Groups/ECSG/05_ecsg_privacyframewk.ashx

 

5、まとめ

アジア進出をもくろむ企業で、個人情報を取り扱う場合には、APECのルールに目配りするというよりも各国の法的規制に対応することを最優先に考えるべきでしょう。CBPRはいったんスルーでいいんじゃないでしょうか。

 

ということで、ザクッとした内容ですがこんな感じでいかがでしょうか。

ではでは。

 

 

 

 

司法試験受からなかった法科大学院生はどうやって就活すればいいのか

今日は司法試験に受からなかった法科大学院生がどうやって就職活動すればいいのか、これもまた実感ベースで適当に書きます。

 

1、普通にやったらあかん。

一般的な就職活動はリクナビマイナビに登録してエントリー、という感じだとおもいますが、これは効率悪いです。リクナビマイナビなどの新卒就活サイトは、文字通り新卒向けに作られているので、既卒のロー生はメインターゲットではありません。ゆえに、既卒ロー生がこの土俵で戦うと苦戦を強いられます。

 

2、エージェント使うのはどうか

そこで、パソナとかリクルートエージェントとか、中途採用のエージェントを使うのが一般的になりつつあるのが現状だと思います。色々とアドバイス受けながら案件を紹介してもらうという形ですね。ただ、エージェントたちは、どこに就職させるかということよりも、どこでもいいからとりあえず就職させて案件をクローズさせ、売上を立てるということがゴールになるので、往々にしてこちらの意図とずれた案件を紹介したりすることがある点が鬱陶しいです。有用ですが個人的にエージェントは嫌いです笑。

 

3、エージェントなしの中途就活サイトはどうか

リクナビNEXTや、Green、wantedlyなどは、エージェントなしで中途就活ができるサイトです。求人内容は玉石混交、エージェントが嫌いで、かつ、面接日程・給与交渉等を自律的に行うことができる人にとっては、そこそこ快適です。個人的にはおすすめ。

 

4、友人・知人の紹介

私のイチオシはこれです。親や友人のコネで就活するのは最強です。ある程度企業の様子も分かりますし、入った後も何かと面倒を見てもらいやすいです。ただし、仕事を辞める時などはちょっと面倒かもしれません。

 

5、結論

結論としては、「いろいろやり方はあるので、一つの方法にこだわらずに、どんどん試せばよい」という感じになります。積極的に活動していればその内うまくいくので(というかそう思わないとやってられないので)、足を止めずに行動するのが大切です。

 

※ちなみに私の友人の就職パターンで一番多いのは2のエージェント使用でした。

 

 

 

 

 

法科大学院生の就職活動について

今日は法科大学院生の就職活動について、書きたいと思います。この記事が読まれる時期は決まっています。そう、司法試験の前後2−3ヶ月です。私にはこの記事を読んでいる皆さんが何を考えているか、手に取るようにわかります。なぜなら私も一人の受験生だったからです笑。

 

さて、弁護士の就職難だの、司法試験に受からなかった法科大学院生はどうしようもないだのといった意見が散見されますが、実体としてはどんなな感じなのか、実感ベースで書いていきます。結論から言うと、「いうほど悪い状況じゃないんじゃないの?」という話しです。なお、2015年の日付の記事ですが2018年4月15日に更新しています。

 

1、仕事があるかどうかは景気次第だ

当たり前のことですが景気が良ければ就職は余裕です。逆もしかりです。2018年4月現在では、実感ですが景気はそこそこといったところなので、外部環境としてはそう悪くないのではないでしょうか。なんやかんやこのトレンドはもう少し続くのではないかと思います。ただし、日本経済全体のパイは徐々に縮小していっているというところは要注意です。今後は全体的に厳しくなっていくんじゃないでしょうか。(2018年4月現在ではもう2−3年は大丈夫なんじゃないかと思い始めています。理由は色々とありますが、実感ベースで「全体的に人が足りてない」感じがします)。

 

2、司法試験に受からなかった法科大学院生の就職を左右する要素

前提として、就職とは、企業の正社員として雇用されること、と定義します。

このカテゴリーの人の就職が上手くいくか行かないかは、①年齢、②卒業大学、③コミュニケーションスキル、④パーソナリティの4つの要素で決まると思います。これも当たり前といえば当たり前ですね。

 ①年齢

まず年齢については、今の外部環境を前提とするなら、20代前半~中盤は余裕、30歳までなんとかOK、30歳以降は③④のファクターでかなり頑張らなければいけない感じです。

 

 ②卒業大学

次に卒業大学については、学部卒と一緒で、地方国立・March関関同立早慶上智・旧帝<京大<東大、という感じで一番左でニュートラル評価、右に行くほどプラス評価という感じです。ただ、正直このファクターあんまり重視されてないんじゃないのと思います。

 

③コミュニケーション能力 

そして言わずもがなの③。一般的に言われている通り、コミュニケーションがちゃんと取れるかは極めて重要です。AやれといわれてBやっちゃう人は、組織では良いパフォーマンス上げられません。まずはマシーンのように言われたことを正確に把握して実現することが重要です。空気を読み、忖度し、相手の期待値を常に上回る仕事をするのは次の段階です。

 

④パーソナリティ 

そして④のパーソナリティ、これはボディーブローのように効いてくる要素です。上昇志向が強いとか、ライフワークバランス重視とか、そういった仕事に対するモノの考え方というところです。ココが輝いていると、①②がダメでもサクッと採ってもらえることがあります。ただし④を伝えるためには③は必須要素です。

 

だいたい以上4つの要素の組み合わせで、就職の決まりやすさが決定します。なので、「法科大学院生の就職は大変」とざっくりくくるのはちょっとどうかということになります。ただ、一般的な法科大学院生が持っている要素が、20代中盤から後半、学歴関関同立March以上、コミュニケーション能力は普通~高い、やや保守的なパーソナリティー、といった具合に仮定できるなら、法科大学院生は就職戦線でビハインドを取ることはないはずです。

 

コミュニケーション能力が低いかパーソナリティがアレな人はどうしたらいいのか?ビジネス書を何冊か読んでちょっとでもマシになるように努力するか、そのまま突っ走りましょう。改善せずに自分丸出しで活動すると結構大変ですが、そっちの方が人生楽しい気もします。

 

仕事で必要な「本当のコミュニケーション能力」はどう身につければいいのか?

仕事で必要な「本当のコミュニケーション能力」はどう身につければいいのか?

 

 

 

4、司法試験合格者について

企業就職については、はっきりいって楽勝です。就職難とか完全に嘘です。司法試験合格の資格でブーストされることにより、書類選考は全通、面接で③④問われるだけという感じです。待遇については私が見ていた限りでは350~600ぐらい、中央値は450ぐらいなんじゃないでしょうか。繰り返しますがこのカテゴリーが就職難というのは実態を知らないナンセンスな意見です。ついでに言うと2018年時点では年収の期待値もかなり上昇傾向です。強気に700万円ぐらい要求してもくれるところはくれます。もはや細かく書く価値すらありません。

 

5、結論

法科大学院卒だけなら場合によるが一般的には就職戦線ではビハインドはなく、司法試験合格者については全く問題なし、というのが結論です。というわけで現在法科大学院に在学中の方は、景気が悪化しないことを祈りつつ、元気に勉強しておけば問題なしです。

 

関連記事としてこういったものも書いてますので合わせて読んでいただければと思います。

murataumiharu.hatenablog.commurataumiharu.hatenablog.com