法務の樹海

71期弁護士が、法務、キャリア、司法修習などについて書きます。

仕事をする上でのメンタルコントロール

 本日は弁護士の一斉登録日ですね。ピカピカの弁護士バッチをつけた新人弁護士が街にあふれかえる…ということはないと思いますが、今日から稼働だよ、という人も多いのではないかと思います。

 そこで、今日はメンタルコントロールについて書きたいと思います。仕事をする上で自分のメンタルをクリーンに保つことは重要ですよね。私は弁護士として稼働していたわけではないですが、社会人の先輩として先輩風を暴風のように吹かせて、「メンタルのコントロールはなぁ、こうやるんや!!」と言ってみたいと思います。

 

 

 

1、そもそもメンタルやられるとは

 メンタルやられるのイメージの典型は「うつ病に罹患する」だと思われます。うつ病については下記資料に詳しい記載がなされているので、興味がある人は一読してみてください。診断基準にあてはまるようならとりあえず心療内科を受診しましょう。

http://www.secretariat.ne.jp/jsmd/mood_disorder/img/160731.pdf

 医学的な話は上記の資料の通りだと思いますが、以下ではもっぱら経験的な観点から、メンタルコントロールをどうしていくのかという話をしていきたいと思います。

 

2、睡眠・運動・食事

  適度に眠り、運動し、きちんと食事するすることが健康を保つために必要なピラミッドであるということは中学生の家庭科の教科書にも書いてありますね。まずはこの部分を整えることが重要です。そして、これらのいずれかがおろそかになるような生活習慣となっている場合、その時点でメンタルの維持に赤信号がともっているといって間違いないでしょう。ついでに生活習慣病予備軍にもなっていると思われます。基本中の基本ですので、ここは死守しましょう。

 

3、自分の気質を知る

 次に、自分の性格をよく知ることが大事です。性格診断ツールは山ほどありますし、いくつかやって平均とって分析してみるのがいいでしょう。経験的ですが、注意すべきなのはやはり下記のような気質をもっている人ではないかと思います。

  • 完璧主義:完璧に仕事ができない自分を責める
  • 勤勉:コツコツ努力して結果を出す
  • 神経質:いろいろなことが気になる、不安を感じる
  • 自責思考:起こった結果が自分のせいだと思う
  • 従順:人の言うことをよく聞く

 いずれにしても、一般的には、人の言うことを聞いて一生懸命真面目に取り組み、完璧を目指す人がメンタルを崩しがちと言われていますが、私の周りでメンタルをやってしまった人をみていると確かにそうなんだろうという感じがします。なお、上記の気質は仕事をしていくためには一定程度必要とされるものですし、司法試験に合格するような人は必ず上記のいずれかの気質を複数備えていると考えられます。つまり法曹は全員メンタルやられる可能性があるぐらいに思っておいた方がいいでしょう。

 ちなみに、よく「成長するためには他責ではなく自責」といっている人がいますが、元気な時はそれでいいですが元気がなくなっているときは「俺なんも悪くねーし」と思わないと壊れてしまいます。何事も加減が大事ですね。

  参考までに。一つ正確診断テストを置いておきます。

無料性格診断テスト | 16Personalities

4、振り返り・言語化によるストレス源の特定

 さて、次に精神的なストレスを感じた時に、そのストレスを解消するために私がやっていることとして、振り返り・言語化を説明します。

 まず、何らかの事象が生じたときに(例えばボスに怒られた)、なぜその事象が生じて(仕事でミスった)、それに対してなぜ自分がストレスを感じているのか(怒られるということは評価が下がったということだから給料下げられるかも)、ということを言語化していきます。言語化することで、自分が悩んでいることがしょうもないことなのか、それとも深刻なことなのかを明らかにすることができ、前者であればとっとと忘れればいいですし、後者でであればちゃんとソリューションを考えないといけないということになります。

 また、なぜストレスを感じているのかという点の分析に際して、自分の気質を考慮することは重要です。「生真面目に考えすぎているんじゃないだろうか」「完璧主義的に取り組みすぎじゃないだろうか」といったことを意識すると、自分の考えのゆがみに対して客観的な態度をとることができ、次項で述べるストレス源の解消方法の模索をフラットに行うことができると思います。

 

5、ストレス源の解消方法の模索

 例えば仕事でミスってボスに怒られてストレスを感じたという場合、ソリューションは下記ということになると思います。なお、実際にはもっと詳細に細かい定義やステップを書きだしていきます。

  • いい仕事をして挽回をはかる
  • ボスからの評価さがっても別にいいやと開き直る
  • ボスとのコミュニケーション方法を改める
  • 次からは怒られたら逆切れしてボスをビビらせ、怒られないようにする
  • 事務所を辞める
  • ボスを消す

 重要なのは、実現可能性が低い選択肢も含めて全部出し切ることです。最悪どうすれば根本的にストレスを解消することができるかを認識しておけば、それ自体が安心感を得ることにつながります(「やめるという選択肢もあるがまだそこまでには至っていないな」「ボスを消すという選択肢は違法なので無理だな。まあやめればいいな」等)。そして、実際に考え付いたソリューションを試してみて、また振り返りとソリューションver2.0を考えます。繰り返すうちに徐々に最適化が進み、いつのまにかストレス源が消滅しているというのが理想です。

 ちなみに私は、壁一面に静電気接着のホワイトボードシートを張り付けて仕事で悩んでいるところをすべて書き出し、じっと眺めてどう解決するかを考えてアイデアを書きだしてました。この話をすると狂人扱いされますが、やりはじめてからメンタルの安定度が格段に上がりました。物販コーナーみたいでごめんなさい笑

 

6、メンタルが赤信号であることに気が付く端緒

 さて、いろいろ考えて取り組んでみてもストレスを解消できず、徐々にメンタルが蝕まれていったとします。自分ではメンタルがやられていることは気が付きにくいものですが、分かりやすい端緒としては「勤怠が乱れる」というものがあります。私が働いていた時も、メンタルを病む人はまず朝の遅刻が増え、徐々に半休・欠勤が増え、最終的には会社に来なくなるというパターンが非常に多かったです。急に来なくなるというパターンはあまりありませんでした。

 要するに

  • 朝起きれずに遅刻することが増えてきた

 という事象が発生すればもう赤信号です。ストレス源除去のためにかなりドラスティックな方法(仕事を辞める、長期休暇に入る)をとるべき段階に来ています。私自身は「朝きちんと起きて出社する気力があるうちは大丈夫だ」と思いながら仕事をしていました。

 

6、逃げる時は全速力

 さて、「これはちょっともう完全に無理ですな」と思った時は、逃げましょう。全力です。腹を括っていない人だと「体調がよくないので少し休ませてほしい」とか言ってしまいがちですが、良くないです。診断書をたたきつけて「体調が悪いのでこれ以上働けません。もう無理です。明日から行きません」ぐらいの勢いで言わないと相手にヤバさが伝わりません。社会的な評価を気にしている場合ではないです。最悪ですが無言で逃げるのもありです。生き延びるためにやれることはなんでもやらないといけない段階に至ったら、躊躇している場合ではありません。

 急に休んだらボスや同僚に迷惑をかけるんじゃないかと思ってしまいますが、当たり前のように迷惑はかかります。「おい、●●に連絡つかねーぞ!今日期日じゃないのか、どうなってんだ!」「くっそー●●の仕事なのになんでおれがやらないといけないんだよ」といった怒号が事務所内で飛ぶことでしょう。しかし、迷惑をかけられてもとりあえず何とかリカバリーしようとするのが大人じゃないですかね?大体のことは残った人で何とかできます。何とかできないなら、そういった不測の事態に備えていなかったボスの責任です。

 もちろん、多少でも余裕が残っているのであれば、業務を引き継いだり、休む期間を調整したりといった人間みたいな振る舞いをすることが望ましいことは付記しておきます。

 

7、既にヤバい人は早く病院に行って弁護士を雇おう

 もう既に限界が近い、という人は、とりあえず心療内科に行きましょう。そして弁護士を雇いましょう。弁護士って退職の交渉代理してくれますよね。もはやボスや同僚とコミュニケーションをとることすら辛い場合、弁護士に依頼してしまうのがいいと思います。自分が弁護士で法律事務所の中の話だから弁護士を雇って交渉するなんてできないというのは思い込みです。手段を選んでいる場合ではありません。

 

8、ストレス解消法としての酒や運動

 ストレス解消方法としてスポーツをしたり、友人と酒を飲んだり、ゲームをしたりということを挙げる人は結構いますが、私はこれらの行為が強度のストレス解消に直接寄与するとは思いません。大したストレスでなければ、これらの行為をする中で解消することができるかもしれません。しかし、仕事で感じた強度のストレスは、仕事の完遂か、仕事そのものから逃げることでしか根本的には解決しないと思っています。尤も、上記の行為に取り組む中で新たなアイデアが湧いてきたりすることもあるので、その意味では一定程度ストレスの解消に寄与することもあるでしょう。しかし、まずやるべきなのはストレス源をどう除去するかを多角的に検討し、除去できずメンタルがやられているならとっとと逃げる、というところだと思います。

 

9、まとめ

 ということでメンタルコントロールについて書いてみました。まとめると「自分の性格をよく把握した上で、ストレスとまっすぐ向き合うか逃げるかどちらかの選択をする」ということだと思います。また、個人的には「やばくなったら全力で逃げる」という選択肢を持っておくことが一番重要だと思います。最悪これでなんとかなる、という手段をイメージしておけば、安心感はぐっと高まりますからね。本記事の内容は項目1を除いて私の主観と経験に基づく独断と偏見にまみれた内容ですので、信用性にはやや疑義があるかもしれませんが、参考にしてもらえれば幸いです。