法務の樹海

司法試験合格後、司法修習に行かずに3年ほどぷらぷらした後、71期で司法修習予定の者によるブログ

法曹の質は低下しているのか?

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この記事の中にも「質」という言葉が何回か出てきていますが、私は「新制度になって法曹の質が低下した」という主張には疑問を抱いています。結論からいうと、新制度の下に誕生した法曹と、旧制度の下の法曹を比較し、前者の質が後者を下回るということを示すのは非常に難しいと考えます。なぜなら、法曹の「質」を定義し、評価するための合理的な基準を設定することができないからです。

 

1、法曹の質は誰が評価するのか

そもそも質とは何なのでしょうか。まず、評価の主体が問題です。果たして法曹の質は誰が評価するのでしょうか?同業者・行政機関(文部科学省法務省)・企業・個人、様々考えられます。この点については、法曹がサービス業であることから、評価者は法曹の「顧客」であるとするのが適切であると私は考えます。つまり、顧客満足度が法曹の質の評価基準とされるべきだ、ということです。

 

2、顧客満足度を一定の基準に落とし込むことができるのか

では、顧客が質を評価するとして、それを一定の基準に落とし込むことができるのでしょうか。おそらくこれは困難です。個別の組織・事務所が、一定のファクターを決め、顧客にアンケートを取り、満足度を数値化することは可能かもしれませんが、この方法を法曹全体に水平展開するのは事実上不可能です。

従って、顧客の満足度を測定するためには、何らかの代替指標が必要になります。代替指標としては、次の三つが考えられます。

①司法試験競争倍率

二回試験不合格率

③懲戒件数

この中で、顧客満足度と最も関連性があるのは、③の懲戒件数であると考えられますが、懲戒が行われるのが逸脱的なケースであることを考えると、これを用いることはややためらわれます(なお、③については新制度下の弁護士と、旧制度下の弁護士との間で有意な差はなかったと記憶しています)。①②についてはこれらの数値が、顧客満足度を表しているとまでは言えないでしょう。

このように、顧客満足度そのものを測定するのは難しい以上、何らかの代替指標を用いることが必要になるが、その代替指標を設定するのもまた困難、というのが現状かと思います。

 

3、まとめ

ということで、雑な議論ではありますが、私見としては「法曹の質」の判断は難しく、従って、新制度下の法曹の質と旧制度下の法曹の質を比較するのもまた困難、と考えます。「要求仕様が決まっていて、それに外れたら品質を満たしていない」という議論ができればよいのですが、そう一筋縄ではいかないのが専門的サービスの難しさといえるのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

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